中古車買取店に車を売却する際、買取店によっては「クレームガード」や「クレーム安心保証」という保証制度への加入を勧められることがあります。

簡単に説明すれば、「買取店が車を引き取り後、車になんらかの欠陥が発覚した場合に、買取査定額について減額(このことを二重査定、または再査定という)をしない」という保証制度です。つまり、「買取店が損害賠償を請求することはない」と保障してくれる制度のことです。

実際に、二重査定は中古車買取でよく聞くトラブルの1つです。本当に車に欠陥があったのならまだしも、どこにも欠陥がないのに言いがかりをつけて安く買い取ろうとする悪質なケースも報告されています。

このような事態を避けるために、クレーム保証に加入してから愛車を売却したいと考える人は多いでしょう。しかし結論から言えば、クレーム保障制度への加入は基本的に必要ありません。

今回は、「中古車買取のクレーム保証制度の内容」について説明した後、「なぜ二重査定を避けられるクレーム保障制度に加入する必要がないのか」詳しく解説します。

クレーム保障制度とはなにか

クレーム保証サービスを行っている中古車買取業者は「ガリバー」と「ビッグモーター」の2社であり、ガリバーは「クレームガード」ビッグモーターは「クレーム安心保証」と呼んでいます。それぞれ保証の名称は異なりますが、基本的に保証内容は同じだと考えて問題ありません。

冒頭でも説明したように、クレーム保障制度は再査定、二重査定をしないことを保証する制度です。二重査定についていまいち分かりづらい人もいると思うので、例を挙げます。

例えば、あなたが愛車を売却するとき、査定を受けている時点では「買取査定額は60万円です」と買取業者から言われたとします。買取査定額に納得すれば売却契約が成立し、車が業者に引き取られます。

ところが車を引き取られてから数日後、「査定時には分からなかったのですが、引き取り後にチェックしたらエンジンに不調が発見されました。なので、買取価格は10万円減額の50万円になります」と買取業者から告げられ、一方的に買取価格を減額されてしまうのです。

今回は例としてエンジンの不調を減額の原因にしましたが、電気系統の不良やトランスミッションの不調など、車の欠陥と認められるものは全て減額の理由になり得ます。

では、実際に二重査定で減額を請求された人がいるのかというと、少数ですが存在します。このように聞くと、「やっぱりクレーム保障制度に加入したほうがいいのでは?」と思うかもしれません。

実は、クレーム保障制度に入っていなくても二重査定は避けられます。つまり、そもそも請求されなくていいものに対して保険をかける必要はないのです。

なぜ、クレーム保障に加入しなくても二重査定が避けられるのでしょうか。この理由について以下で解説していきます。

クレーム保障制度に加入する必要のない理由

なぜ、二重査定を避けられるのかを説明するために、まずは瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)について知る必要があります。

瑕疵担保責任というのは、「売買する品物に瑕疵(なんらかの欠陥があること)があり、それが買い手が注意を払っていても気がつかないようなものであった場合、売り手が買い手に対して負わなければならない責任のこと」です。

中古車の査定というのは20~30分程度の時間で行われるため、外見上の欠陥(キズへこみなど)は分かるものの、エンジンやトランスミッションなどの機械的な欠陥や事故歴(修復歴)の有無を正確に把握するのは難しいです(その場で分解してチェックすることはできないので)。

そのため、車を引き取り後に機械的な欠陥や事故歴が見つかった場合、車を売却してから3ヶ月間までの間は売り主(車を売った側)に賠償責任が生じることになっています。

しかし実際のところ、中古車査定業界では「査定時に車の欠陥を見落とした買取業者側に責任がある」という考え方がスタンダードとなっているため、「売り主が査定時に車の状態を正直に申告している場合、後から欠陥が見つかったとしても売り主に損害賠償を請求することはできない」というのが実情です。

逆に言えば、車を売却する際に車の欠陥を申告せずに隠していた場合は、減額請求に応じる(責任を負う)必要があるということです。そのため、査定を受ける際は車の状態について正直に申告しましょう。

以上のことから、車の欠陥を故意に隠した場合を除いては、二重査定を受ける道理はありません。したがって、二重査定を避けるためにわざわざ保証に加入する必要もありません。

少しきつい言い方になりますが、査定ミスの責任を車の売り主に転嫁して、本来負う必要のない責任に対して不安をあおって保障に加入させるというのはやり方としてどうなのだろうかと私は思います。

瑕疵担保責任と二重査定の問題に対して、国民生活センターから詳しいアドバイスがあります。

契約後の車両の瑕疵を理由にした契約の解除や減額は、原則として認めなくてよい

査定して契約後、「よく調べたところ車には事故歴があることが判明したので、買い取り額を減額する」「修復歴があることがわかったので解約する」などと、事業者から、減額や解約を求められることがある。

車両に「隠れた瑕疵」があった場合、事業者は消費者に対し、瑕疵担保責任に基づいて損害賠償および契約解除を求めることができる。しかし、事業者は査定のプロであり、通常の注意を払えば修復歴などは発見することができるものであり、事業者側に過失があったということができる。このように過失があった場合には、瑕疵担保責任を求めることはできない。

また、「契約車両に重大な瑕疵の存在が判明した場合には、契約を解除することができる」といった、事業者の過失の有無に関わらず解除できる条文が契約書にあっても、この条文は消費者契約法第10 条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)によって無効とする主張が可能である。

車両の瑕疵を理由にして、契約後に買い取り価格を減額された場合には、この考え方をもとに交渉すること。

出典:国民生活センター

このことからも、車の欠陥を査定時に見抜けなかった責任は買取業者側にあり、それは法律的にも保障されています。そのため、クレーム保障に加入せずとも二重査定による減額請求は拒否することが可能です。以上が、クレーム保障に加入する必要のない根拠です。

もし、「二重査定を拒否しても相手の買取業者が応じてくれない、しつこく請求してくる」という場合は上記のアドバイスを参考に反論してください。それでも相手が引き下がらない場合は、最寄りの国民生活センターに相談しましょう。解決策を提示してもらえます。

クレーム保障に加入したほうがいい条件もある

ここまで、クレーム保証に加入する必要はないと解説してきましたが、条件によっては保証に加入したほうがいい場合もあります。

その条件とは、愛車の調子があまりよくなく、欠陥が発見される可能性があり、査定を受けた業者の中で「ガリバー」か「ビッグモーター」のいずれかが最高買取価格を提示してきた場合です。

先ほども述べたように、車の欠陥を故意に隠していない限りは二重査定を受ける道理はありません。しかし、二重査定を無効にするためには買取業者と交渉して主張を通す必要があります。最終的に二重査定を取り消してもらうにしても、交渉の過程で精神的に擦り減ってしまいます。

このような事態を想定すると、保証制度を設けている上記2社に車を売却する際に「中古で購入したので事故歴(修復歴)があるかもしれない、愛車に欠陥がないと自信を持って言えない」という場合はクレーム保証に加入したほうがいいでしょう。そうすることで、後から車に欠陥が見つかったときに不毛な争いをせずに済みます。

ただし、「新車で購入しているし一度も事故を起こしたことはないから愛車に欠陥はないはず」という場合は保証に加入する必要はありません。あくまでも、欠陥がないと自信を持って言えない場合に限り保証に加入したほうがいいという話です。

上記の理由から、クレーム保証に加入することを考える人もいると思います。そうした人に向けて、クレーム保障制度の内容や加入料金について詳しく紹介します。

クレーム保障制度の内容・条件

ガリバーは「クレームガード」ビッグモーターでは「クレーム安心保証」とそれぞれ名称が異なりますが、保証の内容はほぼ同じものです。

保証の内容は先ほども述べたように、査定時に見抜けないような重大な欠陥(エンジンの不調やトランスミッションの動作不良など、実際に車を動かしてみないと分からない欠陥)が車を買い取り後に発覚した場合、欠陥による損害を請求しないというものです。

ただし、以下の条件においては保証が対象外となるので注意が必要です。

①損害額が保証限度額の100万円を超過した場合

クレームガードとクレーム安心保証の保証限度額は共に100万円までとなっています。車の欠陥が100万円以上の損害になることはまずありえないことですが、もし損害額が超過した場合は保証が適用されません。

②売り主が車の欠陥を故意に隠して売却した場合

これに関しては先ほどから言っている通りですが、車の状態を正確に申告しない、欠陥や事故歴を知っていながら隠して車を売却した場合は保証が適用されません。

③車の買い取りをキャンセルされた場合

中古車買取の契約において、売り主側が車の売却契約をキャンセルすることは基本的にできません。しかし、買い手側(買取店側)は車を引き取り後に欠陥が発覚した場合は買取契約をキャンセルする権利を有します(契約内容がそのようになっている)。

クレーム保証は買取契約を保証するものではないので、買取契約そのものがキャンセルされた場合は保証の対象外となります。ただ、買取契約のキャンセルと同時に売却額も返却されるので損をすることはありません。

「保証の限度額は100万円まで」となっているものの、車の欠陥による損害額が大きい場合は買取契約をキャンセルされる可能性があり、クレーム保証にはこれを防ぐ効力はありません。この点については、私は保証内容の矛盾を感じます。

クレーム保障制度の加入料金はいくらなのか

保証の内容が分かったところで、次は肝心の加入料金について見ていきましょう。保証の内容に関しては両社共通ですが、加入料金についてはそれぞれ料金体系が異なります。

・ガリバーのクレームガード保証料金

買取価格 国産車の保証料金 輸入車の保証料金
0~10万円 4900円 4900円
10~20万円 5900円 6900円
20~30万円 6900円 7900円
30~40万円 7900円 9900円
40~50万円 8900円 11900円
50~100万円 9900円 14900円
100~150万円 11900円 17900円
150~200万円 13900円 20900円
200~250万円 15900円 23900円
250~300万円 18900円 26900円
300万円以上 21900円 29900円

・ビッグモーターのクレーム安心保証、保証料金

買取車種  保証料
軽自動車 1万円
普通車 買取価格100万円未満 1万円
普通車 買取価格100万円以上 2万円
商用車 3万円
輸入車 3万円

保証料金が細かく決められているガリバーに対して、ビッグモーターはシンプルな料金体系です。どちらが得かはケースバイケースですが、輸入車に関しては一律3万円のビッグモーターよりもガリバーのほうが得です。

1つ注意が必要なのは、保証料金だけを見ても損得が分からない点です。なぜなら、買取査定額から保証料金を差し引いたトータルの金額が本当の意味での買取価格だからです。複数の買取業者から査定を受けて買取価格を見比べる際は、保証料金を差し引いたトータルの金額を見比べるようにしましょう。

保障の有無は気にせずに、買取価格で業者を選ぶのがベスト

以上、ガリバーとビッグモーターの2社が行っているクレーム保証について解説してきました。基本的には加入する必要のない保証ですが、愛車の状態に自信のない人に限ってはトラブルを避けるために加入しておくことを推奨します。

ところで、「ガリバーやビッグモーター以外の中古車買取業者はこうした保証を設けていないが、二重査定のリスクはあるのか?」という疑問を持つ人もいると思います。

この疑問に関しては、心配する必要はありません。先ほど解説したように、「査定時に車の欠陥を見落としたのは買取業者側の責任である」という考え方が一般的であるため、クレーム保証制度を設けていない業者からも二重査定を受けることは基本的にありません。

ただ、稀に悪質な業者が二重査定をしてくることがあります。こうしたリスクを確実に回避するためには、2つの方法があります。

①契約時に確認する

1つは、契約時に「車を引き取り後に欠陥が見つかった場合、減額請求をすることはありませんか?」と業者に直接確認する方法です。口頭で聞くだけでなく、ボイスレコーダーなどを使って録音しておくと後々トラブルになったときに証拠として使えます。

また、契約書の書面に「車を引き取り後、減額の可能性あり」という文言がないかも同時に確認しましょう。もし、減額の可能性があるという回答を貰った、もしくは契約書に記載されていた場合は、その業者に愛車を売却するのはやめておいたほうがいいです。

②JADRIの加盟業者

2つ目は、「JADRI(ジャドリ:日本自動車流通研究所)」と呼ばれる団体に加盟している買取業者に車を売る方法です。JADRIは厳しい審査基準を設けているため、優良な買取業者でなければ所属できません。そのため、JADRIの加盟業者であれば二重査定をすることはありません。

買取業者がJADRIに加盟しているかどうかはインターネットで検索すれば簡単に分かります。あなたが愛車を売ろうと考えている業者がJADRIに所属しているのかを事前に調べると、より確実に二重査定のリスクを回避できます。

結局のところ、クレーム保障制度は基本的に必要ないので、最も買取査定額が高い業者に車を売れば良いということになります。そして、最も高い査定額を提示してきた業者がガリバーかビッグモーターだった場合は、必要に応じてクレーム保障制度に加入するかどうかを吟味すればいいだけです。

どこの買取業者が高い買取査定額を提示してくるかは分からないので、複数の買取業者から査定を受けることが大切です。その際は、インターネット上で一括で査定を受けることのできる「一括見積もり査定」を利用すると手間が省けて便利です。

買取保証を気にせずに、高値で愛車を売ることに専念しましょう。


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一社だけの見積もりに比べて、複数の見積もり査定をすることで車の買取額が15~30万円ほどアップするのは普通です。

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